歯根端切除術とは?
根管治療を治癒に導けるかどうかは、根管内の問題と根尖孔外の問題に別れています。根管内の問題を解決したとしても改善しない場合に行う治療が歯根端切除術です。では根管内の問題や根尖孔外の問題はどのようなものがあるのでしょうか。詳しく解説していきます。
根管内を清掃できない
主に感染源が根尖孔外にまで及んでしまったケースに用いられる手法です。
主根管を治療しても感染源を除去できないような側枝に感染源が残ってしまっている場合が挙げられます。その際は根尖部3mmに多いと言われている側枝内の汚染物ごと歯根をカットオフします。
器具が穿通してしまっている
1度(もしくは2度)根管治療をしたときに、本来の根管じゃないところに器具を穿通してしまっていて、どうしてもその誤った経路にしか器具が入っていかない場合に本来の根管を清掃することができない場合があります。そういったケースの場合は、その先端ごとカットすることもあります。
破損した器具の残存
1度(もしくは2度)根管治療をした際に、誤って器具が破損してしまっている場合があります。そういった場合は破損した器具を除去するのですが、それが非常に困難で、且つ器具が邪魔で根尖部を清掃できない時に根尖をカットすることがあります。
根尖孔外にバイオフィルムが及んでいる場合
根管をどれだけキレイにしたとしても、根尖孔外にバイオフィルムが付着している場合は、感染源が残存することになるので、根尖をカットオフする。理由としては、根尖病変を長期間放置している場合(5年〜10年)は、細菌が定着してしまうことが挙げられます。
インプラントに移行する前の最終手段です。
歯根端切除術をすることによって、歯を保存することは可能ですが、
歯根をカットすることになるので、歯根と歯冠のバランスが悪くなり、問題のない失活歯(通常の根管治療で残せた神経のない歯)に比べて、歯根破折が起こりやすい状態になります。
当院としては、歯根端切除術によって歯を保存することはもちろん可能ですが、保存した歯が一生持つというエビデンスがないことも理解しています。
そのため、患者さんにはせっかく残した歯としっかり向き合っていただき、その歯がダメになって、インプラントになったとしても変わらず大切に扱っていただく習慣と心構えを作っていただく期間だと考えていただきたいです。
歯根端切除術のゴール
先述した2つの問題(根管内を清掃できない状態、根尖孔外にバイオフィルムが及んでいる場合)を解決し、最終的に歯の保存を行うことです。
あくまでも、通常の根管治療では改善が見られない場合に行う治療になります。
患者さんにご理解いただきたいことは感染源を除去し、歯を保存することであり、歯根端切除術をすることではありませんので、ご留意ください。
歯根端切除術の症例
症例紹介
歯根端切除術+クラウンレングスニングで歯を保存
Before
After(3年経過時)
Under treatment
After
治療
根管治療、歯根端切除術、クラウンレングスニング
症例紹介
歯根端切除術(CTで巨大な根尖病巣を発見)で歯を保存
Before
After
Under treatment
Under treatment2
After
診断
根尖病変
(CTで確認したら巨大な根尖病変が発見された)歯を残したいという要望に答えるためのチャレンジケース)
歯根端切除術の流れ
診査、診断
レントゲンやCTなどで検査を行った結果、通常の根管治療では改善できないとわかった場合に、歯根端切除術を検討していきます。
コンサルティング
検査結果の資料を用いて、詳しくご説明を行います。
その上で、歯根端切除術を含んだ治療計画を立案します。最終的に患者さんが同意された段階で、治療へ進みます。
治療
方法は2つ。
根管内の清掃状態を改善してから、歯根端切除術を行う。
診査診断後、即、歯根端切除術を行う。
根管内の無菌化と緊密な封鎖を治療のゴールとした際に、根管内外に問題がある場合は標準の根管治療をしてから歯根端切除術に移行します。
根管内外に問題がある場合は、根管治療後に、MTAによる根管充填を行い、根尖をカットすることで完了する場合もあります。
根管内に問題は無いが、根管外もしくは根尖孔外に問題がある場合は、即、歯根端切除術を行います。
即歯根端切除術を行う場合は、逆根管充填が必要になります。
その理由としては、上からのアプローチではなく根尖側から緊密な封鎖を行うことが目的となるからです。
根管充填後
通常の根管治療と歯根端切除術を行う場合は、コアの築造とプロビジョナルレストレーション(仮歯)をセットした後、クラウンを製作・セットします。
歯を残したい方の治療相談を承っております
歯を残したい、より良い選択肢を知りたいという方は、治療相談をご活用ください。あなたの要望をお伺いしながら、第三者としてフェアな視点でセカンドオピニオンとしての役割を果たします。治療相談は完全予約制ですので、まずはご予約をお願いします。