こんにちは。
札幌で歯を残す治療とインプラント治療の二刀流歯医者、ユアーズデンタルクリニック院長の湯口です。
歯を残す治療もYoutubeで解説しているように、その歯の病態によってアプローチ方法が全く異なります。
その歯のどこに原因があるかによって行う処置が違うんです。
例えば歯周病が悪化してしまっている方には適切な歯周病治療と、
失われた骨を再生させる歯周組織再生療法を行うことによって、
その歯の支持骨を再び丈夫にすることで歯を残そうとします。
重度のむし歯が進行してしまっていて歯ぐきの中まで歯質がない場合には、
MTMと言う部分矯正治療によって再び歯質を歯ぐきの上まで露出させるか、
クラウンレングスニングと言って、歯ぐきを切開して意図的に歯ぐきを下げることによって相対的に歯質を露出させて歯の寿命を伸ばす方法などを選択します。
歯の根っこが悪い場合には、ラバーダムと言うゴムのマスクをかけて細菌感染を防止しながら、
歯科用顕微鏡のマイクロスコープを用いた拡大視野下で無菌的な根管治療を行うことによって病態の改善を図ります。
通常の精密根管治療でも病態が改善しない場合には、歯根端切除などの外科的根管治療を行なって、
病態の改善を試みます。
このように、どこにどんな原因があるかによってアプローチ方法は様々あります。
どれも保険治療が効かない難易度の高い治療法ばかりですが、それでも歯を残すことができたらインプラント治療が先送りできるだけでなく、
自分の歯で食事ができるので満足度は高いです。
しかし、病態は全て単一の原因とは限りません。
中には今列挙した病態が2つ以上同時に同じ歯に起こっていることがあります。
その場合には治癒に導くには困難を極めます。
中でも歯周病の進行と同時に歯の根っこに問題が生じている歯が難治性です。
歯の根の中は密閉空間なので、その閉ざされた空間内さえ洗浄して無菌化できれば病態は治癒へ向かいます。
しかし同時に歯周病も併発している場合には、歯周ポケットが外界(口腔内)と交通しているため、
完全な閉鎖空間にはならず、絶えず細菌感染に晒されてしまう状態になります。
これを専門用語で「エンド-ペリオ病変」「歯周-歯内病変」「P-Per病変」と言います。
こうなってしまうと、歯周病治療の技術と根管治療の技術の両方を兼ね備えなければ治癒に導くことはできません。
そしてこの歯周-歯内病変はそもそも診断が難しく、処置の選択やタイミングに注意が必要です。
1972年(!)のSimonの分類ではエンド・ペリオ病変は6つの病態に分類されています。
それは根の病変由来なのか、歯周病由来なのか、もしくはその混合かによって分類されており、いくつかの診査によって適切な治療法を選択します。
そして最も診断や治療が難しいのが、私が先ほどから言っているこの混合タイプです。
精密な根管治療と適切な歯周治療によって治癒に導く必要があります。
それではここから症例を解説します。
術前の状態で古い銀歯の冠を除去して歯の根の治療が必要だと分かります。
歯の根の治療を行うと特に一番奥の歯の状態がよくありませんでした。
徹底的に洗浄し、できる限りの無菌的で精密な根管治療を行いました。
4本の根の治療を行うと、特に一番奥の歯がこれ以上根管治療では治癒が望めないことが分かりました。
この歯は歯周ポケットも併発していたため、手前の歯の歯ぐきの手術を行うついでに奥歯の状態も確認しました。
歯肉弁を開けると大きな骨欠損が残存していたため、徹底的に肉芽組織を取り除き再生療法に用いる薬剤を封入して外科処置を終えました。
経過が良好だったため最終セラミック治療を行い治療を終えました。
治療後の状態は問題ないことが分かります。
患者さんはその後も定期的なメインテナンスに来院されていました。
そしてこれが治療終了から5年後の状態です。
5年後も根管の状態もセラミック冠も全く問題ありません。
もうすぐ80歳になろうかという患者さん、一生自分の歯で食事していただきたいですね!
このように歯の土台を丈夫に治療できれば歯は長持ちします。
エンドペリオ病変という難しい病態も、一つ一つの問題をクリアできれば歯を残すことができるのです。
自分の歯を大切に思う方はぜひこちらからご相談ください。
歯を残す治療に関して詳細に知りたい方はこちらの動画をご覧ください。