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歯槽膿漏(重度歯周病)の治し方

歯槽膿漏=重度の歯周病

歯槽膿漏とは歯周病の病態の一種で、歯周病の中でも重度の状態を指します。

歯茎から出血する、歯茎が赤いなどは歯周病の初期症状ですが、そこから中等度・重度になるにつれて歯周病菌が出す毒素が歯を支える歯槽骨を溶かして歯がグラグラになってしまいます。すると歯と歯茎の溝の深さ(歯周ポケット)が深くなり、常に歯周病菌がウジャウジャいる状態になります。歯茎は赤黒く腫れ上がり、出血だけでなく膿も出るようになるのが歯槽膿漏の典型的な症状です。

歯槽膿漏とは?歯周病との違い

歯槽膿漏の検査の重要性

歯槽膿漏かどうかにまずは早めに気が付くことが重要です。
そのために歯周組織検査とレントゲン写真撮影が必須です。それも一度に全部の歯を撮影できるパノラマ写真だけでなく、個々の歯や歯槽骨の状態を確認できるデンタルX線写真撮影が必要になります。

噛み合わせの状態も確認する必要がある

歯槽膿漏の原因は歯周病原因菌ですが、歯槽膿漏を悪化する要因の一つに噛み合わせの悪さがあります。問診では喫煙の有無と全身疾患、特に糖尿病があるかどうかを確認します。どちらも歯茎の治癒に影響が出る因子なので治療方針の決定に関係します。

歯槽膿漏を改善させるために重要なこと

歯槽膿漏を改善させるには、

  1. まず病態を正確に把握すること
  2. 患者さんのお口の中の状況に合わせた歯周初期治療計画を立てること
  3. 個々の歯に合わせた治療術式の決定、の3つが大切です。

どの工程においても妥協できないのが歯槽膿漏治療の難しいところで、何より患者さんの治療に対するモチベーションの維持が結果を左右します。

歯槽膿漏の治療に関する重要なポイント

どんな治療術式を用いて手術を行うかも大事ですが、それと同じくらい重要なのが、手術(歯周外科治療)に入る前にいかに今の状態の歯茎を清潔に健康的な状態に持っていけるかが非常に重要です。具体的には、歯や歯茎の際にプラークがほとんど付いていない状態で、かつ歯茎がピンク色に引き締まり、出血もほとんどない状態にしていく必要があります。これができないと手術(歯周外科治療)

歯槽膿漏の治療で改善するまでの流れ(実際の症例で説明)

初診時

歯周病を治したいという主訴で来院されました。
口腔内写真から、全体的に咬耗が見られ、歯軸傾斜も起こしていることが分かりました。咬合状態は臼歯関係2級、側方運動はグループファンクションで臼歯離開も不十分です。また下顎の臼歯部頬側、犬歯部舌側に骨隆起も確認できることから噛み合わせの力が強いことが示唆されます。歯肉の状態は発赤はそれほどないが、所々腫脹は見られます。 

 

レントゲン所見は下前歯部には根尖付近までの垂直性の骨吸収像を認めます。また臼歯部を中心に骨吸収像を認めます。特に左上の奥歯は根分岐部に透過像が見られます。

歯周組織検査結果から、動揺度が2度以上の歯牙が5本、アタッチメントロスが歯根長の 1/2 以上のある歯牙や、根分岐部病変があるので中等度歯周炎と重度歯周炎が混在している状態です。24本中11本(45.83%)に6mm以上の歯周ポケット深さを有する歯牙があるので広汎型慢性歯周炎に分類されます。

治療計画

診断です。
咬合性外傷を伴う広汎型慢性歯周炎と診断しました。歯列矯正治療を含めた包括的な治療を提案しましたが大幅な治療介入は望まれなかったため、歯周治療を優先しメインテナンスでコントロールしていくという治療方針に決定しました。

 

目標は「歯周治療によって起こる歯肉退縮を最小限に抑えつつ骨縁下欠損を改善することで歯周ポケットを最小化し、予後良好な歯肉・骨の状態にする」ことに設定しました。

一方で、いきなりゴールに到達はできないので、順序立てて歯周治療を行います。

まずは歯周初期治療(歯周基本治療)によって、歯や歯茎の表面に付いた歯石やバイオフィルムを徹底的に除去し、炎症をコントロールすることを目標にします。

 

具体的にはTBI(染め出し)、歯周組織精密検査、スケーリング・ルートプレーニング、全顎SRP、動揺歯の固定、夜間ブラキシズムに対するナイトガードの装着、噛み合わせ調整などです。 

再評価

再評価の結果、初期治療により改善した歯周ポケットと、それにより改善しなかった歯周ポケットが明確になりました。 

また口腔清掃指数と歯肉出血指数が劇的に改善し、患者さんが高いモチベーションで口腔内を清掃できていることが分かります。 

歯茎の状態が引き締まっていることを確認して、残存する歯周ポケットを改善するために歯周外科治療に移行します。

歯周外科治療

歯周外科の目的は、歯周ポケットの最小化です。

歯周ポケットを最小化することは通常の歯周治療でも可能な場合がありますが、特に歯周ポケットが大きい場合に、保険でできる歯周外科治療によって歯周ポケットの最小化を目指してしまうと、歯茎が大きく下がる歯肉退縮が起きてしまい、結果的に「歯が長くなる」「歯と歯の隙間が大きくなる」「歯が染みる」「歯の神経をとらなければいけない」「隣の歯と被せ物で連結歯にしなければいけない」などの弊害が起きます。それを回避するには、歯周組織再生療法を行うことで、できるだけ自分の骨の状態を良好に保つもしくは部分的に増やすことで、相対的に歯周ポケットを最小化することで歯肉退縮は防ぐことができます。

一度に全ての歯を外科治療することはできないので、エリアごとに何回かに分けて外科治療を行いました。 

外科後の再評価

歯茎の治癒を十分待ってから再評価を行います。

歯茎は引き締まり、歯周ポケットも最小化されました。

またレントゲン写真からも骨欠損が改善し、平坦な形態になりました。

歯肉退縮が起きていないので見た目もほとんど変わらずに歯周ポケットが改善しました。

当初の希望は歯周病を治したいということだったので、歯列不正はそのままにして、この良い状態を今後メンテナンスしながら経過を見ていくことにしました。

治療完了から3年4ヶ月後の状態

改善した骨は良好な状態を保っており、歯周ポケットの再発はありません。

患者さんは、歯周病によって将来的に歯を失うことを回避することができ、治療結果に大変満足していただいています。

この症例の概要

  • 年齢・性別:40代・女性
  • 主訴:歯周病を治したい
  • 診断名:広汎型慢性歯周炎
  • 行った処置:歯周基本治療、歯周組織再生療法
  • 治療のリスク・副作用:知覚過敏、術直後の疼痛・腫脹
  • 治療期間:2年

※なお本症例は2023年1月出版の『別冊クインテッセンス YEARBOOK 2023 これ一冊で両方学べる!歯周組織再生療法&根面被覆術』に執筆した治療内容です。歯科医師向けに書かれた書籍ですが詳しくはそちらをご参照ください。

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