こんにちは。
札幌で審美歯科・歯を残す治療・インプラント治療・歯肉退縮治療と言えばユアーズデンタルクリニック院長の湯口です。
今日のテーマはタイトルにありますように「高齢者の転倒」と「噛み合わせ」の関係についてです。
日本歯科医師会のHPを見ていたら似たような記述があったので深掘りしたいと思います。
日本は現在「超高齢社会」に突入しており、2021年の段階で「65歳以上の人口比率」が29%です。
10名の日本人を無作為に集めたらそのうち3名が65歳以上であることを意味します。
ちなみにWHOと国連による高齢化の定義は、
65歳以上の人口比率が7%以上が「高齢化社会」、
65歳以上の人口比率が14%以上が「高齢社会」、
65際以上の人口比率が21%以上が「超高齢社会」と定義されています。
私が小学生の頃は「日本は高齢化社会」だと学んだ記憶があるので、高齢化のスピードがいかに加速しているかが分かります。
これは世界的に見てもNo.1の比率であり、2位のイタリアや3位のドイツよりも高い割合となっています。
つまり日本は「高齢化」の先進国ということになります。
割合こそそこまで高くないですが、
中国にはすでに1億6000万人以上、インドには9000万人以上の65歳以上の人々が暮らしていることを考慮すると、
今後日本が「超高齢社会」のロールモデルになることが予想されます。
歯科界に焦点を絞って考えると、我々日本人歯科医師は欧米の歯科界に追従する形で発展してきました。
全ての治療において、欧米で出版された本や論文を読み、参考にしてきています。
しかしこの高齢者歯科の分野に限っては、世界にもデータは乏しいため、
日本から世界をリードする発信ができるのではと考えています。
例えばこちらは日本人によって報告された論文です。
広島大学の先生方が発表された「噛み合わせと高齢者の転倒の関係」という論文です。
この論文には以下のことが書かれています。
・65歳以上の高齢者の3分の1以上が毎年転倒し、そのうちの約半数は転倒を繰り返していること
・転倒の約10件に1件は、股関節骨折などの重傷につながること
・股関節骨折は高齢者の罹患率と死亡率を高め、30%以上の高齢者が股関節骨折後1年以内に死亡していること(!!)
・他の健康状態とは無関係に、転倒は着替え、入浴、家事、買い物などの日常動作を制限し、対象者の老人ホームへの入所リスクを高めること
上記の背景を踏まえて、リサーチを行なっています。
A.奥歯に自分の歯があって噛み合わせがある場合や、B.奥歯に義歯が装着されて噛み合わせがある場合、そしてC.奥歯に何も入っていなくて噛み合わせがない場合のそれぞれの1年間の転倒回数を2つのグループに分けて比較しています。
「High Falls」:過去1年間に2回以上の転倒回数だったグループ
「Low Falls」:過去1年間に1回以下の転倒回数だったグループ
その結果、奥歯に自分の歯もしくは義歯による噛み合わせがあることが、転倒回数に有意に関係していることが分かりました。
具体的には、C(噛み合わせなし)の場合にはA(自分の歯での噛み合わせあり)の場合に比べて、3.65回数転倒の回数が多く、B(義歯による噛み合わせあり)の場合に比べて、3.73回数も転倒のリスクが高かったのです。
これはどういうことかと言うと、
天然歯や人工歯を用いた噛み合わせは、下顎の安定性を誘導することで適切な姿勢反射を生じさせ、
結果として転倒を予防する上で重要な役割を果たす可能性を示唆しています。
つまり私たち歯科医師の技術を駆使して、
奥歯を抜かずに保存する治療や、歯がないところにインプラントをする治療によって、
奥歯の噛み合わせをしっかりと確保できれば、
人々の快適な暮らしを支えるだけでなく、QOL(生活の質)を改善できるのです。
保険治療では抜歯と言われてしまう歯でも、
歯周組織再生療法や、外科的根管治療、歯列矯正治療、インプラント治療など保険診療ではできない自費治療で治療できれば、
歯を残すことやしっかりとした噛み合わせを確保できます。
歯の治療はそういう意味で、人々の健康に繋がっています。
高齢者になってからでは手遅れになることもあるので、できれば40代・50代のうちにしっかりと歯を治しておくことを推奨します。
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