こんにちは。
札幌で歯で悩む方必見、歯を残す歯医者ユアーズデンタルクリニック院長の湯口です。
今回はむし歯で歯がボロボロになってしまった患者さんの歯科治療について解説します。
(本症例はドクターブック主催のケースレポートグランプリ2021の全顎治療セッションで優秀発表賞をいただいた症例になります)
幼少期〜学童期に永久歯がむし歯になった場合は、歯医者さんに行ってすぐ抜歯になることはほとんどないと思います。
まずは詰め物の治療をしたり、神経を抜く根管治療をしたり、銀歯を被せたりする治療がメインではないでしょうか?
しかし30代を過ぎて40代・50代になってくると、
若い時に治療した歯が痛んできたり、
今まで何も感じなかったのに急に奥歯の歯ぐきが腫れてきたり、
あるいはむし歯があるのを知っていたけど放置していたら痛くなってきて・・
などの理由で歯科医院を受診することが多いと思います。
すると、こう言われます。
「◯◯さん、この歯は抜歯ですね。」
予想もしていない診断にビックリしてショックを受けることになるのです。
歯科医師に言われるがままその日に抜歯を受け入れる方、
他の歯科医院にセカンドオピニオンを受診する方、
そのまままた歯医者さんに行かずに放置してしまう方、
様々なリアクションをされると思います。
つまり40代・50代で「久しぶりの歯医者へ受診」すると、思ったより自分の歯が悪くなっていることに気づくことになるのです。
なので20代・30代のうちに歯のお手入れの習慣をつけておきたいですね。
・歯ブラシの正しい使い方、自分に合った歯磨き方法を習得する
・治療する時にはMI(なるべく削らない)のコンセプトで歯を治療する
・やり直しの少ない治療方法・被せ物の種類を選択する
・定期的に歯科医院を受診してチェックを受ける
などの対策が必要です。
(なるべく歯を削らないMIコンセプトでむし歯治療を行なっている当院のYoutube動画をご覧になりたい方はこちらからどうぞ)
しかし中には若い時に歯医者さんに行っていたのに歯が悪くなってしまう方もいます。
それは歯医者さんへのトラウマです。
幼少期や学童期に歯医者さんで痛い思いをしたり辛い治療経験があると、
その後に歯医者へ足が遠のいてしまう傾向があるんです。
歯科恐怖症のような状態になってしまうんです。
そうなるとむし歯があるのは分かっていてもそのままにしてしまったり、
多少の痛みを我慢して乗り越えることで歯が悪化してしまいます。
むし歯を放置してしまうとどうなるでしょうか?
歯の頭の部分(歯冠部と呼びます)が無くなり、歯の根っこだけの状態になります。
歯の神経までむし歯になるので、歯の根の先に膿の袋を作ります。
根っこだけの歯は、隣の歯や噛み込むはずの相手側の歯(上の歯がむし歯ならその下の歯、下の歯がむし歯ならその上の歯)が倒れてきたり、伸びてきたり位置移動を起こします。
この位置移動が起きてしまうと歯科治療はとても難しくなります。
歯冠部に被せ物を入れたくてもスペースが足りなくなって入れることができなくなったり、
歯の方向が悪化したせいで歯を余分に削らないと治療ができなかったり、
せっかく歯の治療しても歯並びが悪いせいで歯磨きがしにくい状態になってしまったり、
そもそもの見た目が悪い状態になってしまうんです。
なのでむし歯の放置、治療中の歯の放置は歯を重度に悪化させてしまうことに繋がります。
前置きが長くなりましたが具体的な例を掲載します。
この写真の方は、むし歯を放置してしまっていた方です。
昔、矯正歯科で矯正治療を受けていたけど、その治療が痛かったので歯医者さんが怖くなり行かなくなってしまったということです。
歯医者さんに行かなければいけないと分かってはいたけど何年も行けなかったと教えてくれました。
当院のことはホームページで知っていたので勇気を出して久しぶりに歯科を受診されたということです。
どのような問題があるのでしょうか?
まずはむし歯を放置していたので歯冠部が崩壊してしまっています。
歯冠部の歯質がなくなり、歯の頭半分の状態になったり、歯の根っこだけの状態になっています。
このままでは奥歯の噛み合わせが確保できません。
そしてさらに良くないことに隣の歯が倒れてきて歯並びが悪くなっています。
歯並びが悪くなってしまっていると、ちょうど真ん中の根っこの歯の部分に治療して新しい歯を入れようと思っても入れることができません。
治療そのものが難しくなってしまうんです。
初診時にこの状態を見た時にどんな治療計画を立てることができるか?
それは受診する歯医者さんによって大きく異なります。
仮に
・保険診療中心の歯科医院
・インプラント専門歯科医院(自費治療)
・矯正・インプラント治療など包括的全顎歯科治療ができる歯科医院
の3つの歯科医院があるとすると、
それぞれの歯科医院で治療計画は大きく異なります。
つまり患者さんはどの歯医者さんを選ぶかによって、治療後の見た目や快適性、残せる歯の本数、それにかかる治療期間・費用などが変わってくるということなんです。
解説は次回へ続きます・・。