こんにちは。
院長の湯口です。
ホームページの改修中のためブログの更新が滞っていました。
この2ヶ月間凄まじく状況が変わってしまいました(本ブログは長文です!)。
歯科医師として新型コロナウイルス対策についてお話する前に連絡事項です。
本日、日本歯科医師会から国民・歯科医院向けに声明が発表になりました。
https://www.jda.or.jp/publicity/newspaper/pdf/ns20200501-15.pdf
また先日日本歯科医師会の会長がテレビ出演しました。
要約すると
・現時点では歯科治療を通じて新型コロナウイルスの感染は1件もない
・歯科において不要な治療はないが、緊急性があるかないかは自己判断せずに担当歯科医師に確認する
・口腔内を清潔にすることがウイルス感染予防につながる
という内容です。
当医院でも感染予防に十分配慮しながら4月20日から診療の縮小と自粛休診を繰り返し行っている状況です。
現在北海道は全国の中でも特に感染拡大が拡がっている地域です。
ここで感染拡大を抑えて医療崩壊が起こらないようにすることが最重要事項ではないでしょうか。
そしてそのためには一人一人が感染対策を徹底するということしかありません。
ウイルス感染の特徴は以下の通りです。
- ウイルスの感染経路は大きく分けて「飛沫感染」、「空気感染」、「接触感染」の3種類です。
- 飛沫感染とは、感染者のくしゃみや咳、つばなどの飛沫と一緒にウイルスが、「空気中で浮遊できる微小な粒子であるエアロゾル」として放出され、近くにいる他者の口や鼻に入り込んで感染する感染経路をさします
- 空気感染とは、飛沫感染の一種なのですが、飛沫が空気中を飛んでいるうちに、含まれている水分が蒸発し、5ミクロン以下の大きさのエアロゾルになります。この微小エアロゾルは軽量なので長距離の空間移動が可能になり、例え感染者との距離が離れていても感染する可能性があります
- 接触感染とは、感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、自らの手で周りの物に触れると感染者のウイルスが付きます。未感染の人がその部分に接触すると感染者のウイルスが未感染者の手に付着し、感染者に直接接触しなくても感染します。具体的には電車やバスのつり革、ドアノブ、エスカレーターの手すりやスイッチなどです。
- 飛沫感染は2メートル離れていると感染しないとされています(通称ソーシャルディスタンス)
- ソーシャルディスタンスが成り立つ原理は、空気中では、感染者から排出された飛沫の最大飛行距離が2メートルまでなので、それだけ離れると感染しないことになりますが、これは換気が良好な場合の話です。
- 逆に換気の悪い密閉空間では、空中に浮遊するエアロゾルが濃縮し、5メートル、10メートル離れても、例えくしゃみや咳をする感染者の近くにいなくても、感染者の「呼気を吸い込む」だけで上気道もしくは下気道で感染してしまうということに注意しなくてはいけません
- また接触感染では、粘性のある大きな飛沫は、外側が乾燥しても、内部のウイルスは感染性を保持すると言われています
これらを踏まえて一般的な新型コロナウイルス対策として
不要不急の外出自粛・手指の消毒・マスクの着用・触れるものアルコール消毒・咳エチケット・換気の悪い空間は避ける・換気の良い空間でもソーシャルディスタンシング
以上のことはすでにご存知の通りです。
そして歯科医師の観点からさらに対策を追加したいと思います。
①「歯磨き・口腔ケア」
②「舌ブラシ・舌クリーニング」
③「鼻呼吸」
の3点です。
まず①「歯磨き・口腔ケア」についてです。
口腔内細菌が出すプロテアーゼという酵素は、ウイルスが気道の粘膜から細胞に侵入しやすくする特性があります。
つまり「口腔内が汚れているとそもそもウイルスに感染しやすくなる」ということです。
ですから歯磨きや適切な口腔ケアを行うことが口腔内の細菌数を減らしウイルス感染予防に繋がります。
次に②「舌ブラシ・舌クリーニング」についてです。
最近の海外の文献で
「ACE2はCOVID-19の細胞受容体でありウイルスが細胞内に侵入して感染を引き起こすのに重要な役割を果たす」と言われており、
「舌の上皮細胞にACE2受容体が豊富である」ことから
高い感染経路になりうることが報告されています。
- High expression of ACE2 receptor of 2019-nCoV on the epithelial cells of oral mucosa. International Journal of Oral Science (2020)12:8. Hao Xu1, Liang Zhong1, Jiaxin Deng1, Jiakuan Peng1, Hongxia Dan1, Xin Zeng1, Taiwen Li1 and Qianming Chen1
つまり舌の付け根である舌背部の舌苔を、専用の舌ブラシを用いてクリーニングすることは、先ほどの口腔内細菌数の減少とりわけ舌表面の細菌の除去という観点において有効だと思われます。
さらに③「鼻呼吸」についてです。
呼吸には「口呼吸」と「鼻呼吸」の2種類あり、現代人の多くは無意識のうちに「口呼吸」になってしまっていると言われています。
私が「鼻呼吸」が重要だと考えている理由は3つあり、
それは「口腔を乾燥させない」「咽頭を乾燥させない」「咽頭リンパ組織を守る」です。
口呼吸は下記のようなトラブルの原因となります。
特に本テーマであるウイルス対策には「咽頭を乾燥させない」ことが大切だと考えています。
咽頭が乾燥すると気道粘膜も乾燥してしまい、冷えと乾燥にに弱い線毛も弱まり、排出機能が低下しウイルスが侵入しやすくなります。
そして冷たく乾いた異物だらけの空気が直接咽頭や喉頭つまりノドに当たってしまうと「咽頭扁桃」・「口蓋扁桃」・「舌扁桃」などのリンパ組織に直接ウイルスが侵入し免疫システムに異常が起こります。
「咽頭乾燥」→「ウイルス侵入」+「免疫システム異常」となるため「鼻呼吸」が推奨されます。
「鼻呼吸」をすると、鼻毛と粘膜がフィルターの役割を果たし異物をシャットアウトします。
鼻の中の線毛運動と鼻水の働きによって、直径15ミクロン以上の物質は完全にブロックされ、5ミクロンの微小なものでも半数は除去できると言われています(どこまでの微小エアロゾルを防げるかは分かりませんが口呼吸よりは断然良い)。
絡め取った異物は、鼻の外に排出されるか、食道を通って胃酸によって消化されます。
そして入ってくる空気自体は温度と湿度が調整され、線毛の動きを活性化させ、身体の冷えを防ぎます(免疫力アップ)。
(ウイルス対策、鼻呼吸についてもっと詳しく知りたい方はユアーズデンタルクリニックのYoutubeチャンネルをご覧ください)
https://www.youtube.com/watch?v=BrhQzjzX5d4
そしてこれら3つの対策を全て網羅して考案したのが、
当医院の「ウイルス対策クリーニング」です。
自粛が解除されたときには「感染しないように働く」ことが求められます。
その際には自分の身を感染から守る行動が必須です。
興味のある方は是非お問い合わせください。
それ以外にも免疫力を下げないなど、ウイルス対策で気をつけることはあると思います。
思いつく限りの対策を練ってこの困難に立ち向かいましょう!