こんにちは。
札幌の自費治療専門歯医者ユアーズデンタルクリニック院長の湯口です。
前回のブログの続きを書きたいと思います。
歯を残すには、細菌感染を予防する精度の高い治療が必要というお話をしました。
ところがそれでも悪くなり続ける患者さんがいます。
「歯ぎしり」(ここでは食いしばりも含む)をしている方です。
「歯ぎしり」することによって歯にひび割れが起きて、むし歯菌が侵入する通路を作ってしまったり、
歯の周囲の骨が病的に溶けてしまう感染経路になってしまったりします。
この「歯ぎしり」をしているかしていないかで、歯の予後が大きく異なるのです。
同じ食生活をして同じ頻度で歯磨きをしても、
歯が全く悪くならない人と、数年おきに歯の治療をしなければいけない人に分かれるのも
こういった背景があるからなんです。
この「歯ぎしり」を防ぐ有効な方法はいまだに見つかっていません。
そもそも病因も明らかになっておらず、
「ストレスが原因で歯ぎしりしているのではないか?」というのが今の見解です。
もしストレスが原因で「歯ぎしり」をしているのなら、そのストレスを解消すれば「歯ぎしり」は無くなるのでしょうか?
そんな単純な問題ではないような気がします。
ストレスは万病の元なので誰だってストレスから解放されたいはずですがなかなかうまくはいきません。
あるいは、噛み合わせのズレがストレスとなり「歯ぎしり」するのではないかという考えもあります。
噛み合わせのズレとは、本来その人がリラックスした状態で顎が楽な位置での噛み合わせと、
習慣的に食事する時の噛み合わせがズレている場合のことです。
この噛み合わせのズレは結構な確率で当てはまる方がいて
この噛み合わせのズレも将来的に歯をダメにしてしまう原因になったりします。
噛み合わせのズレを治すために矯正治療を行う人もいるほどです。
この「歯ぎしり」にはどう向き合えばいいのか?
残念ながら今のところ対症療法しかありません。
具体的にはマウスピースをして上の歯と下の歯が物理的に接触しないようにするのです。
と言うのも噛み合わせは「正常咬合」と「不正咬合」と「異常咬合」とに分類することができて
「正常咬合」は歯並びに問題ない歯列→歯列矯正治療対象外
「不正咬合」とは出っ歯やガチャ歯など歯並びに問題のある歯列→歯列矯正治療対象
と言うことになるんですが、
睡眠中の噛み合わせの問題は「異常咬合」に分類されます。
なぜ「異常」かと言うと、「コントロールできない噛み合わせの問題」だからです。
人は無意識に、特に睡眠中に自分でも想像していない位置に歯をズラして食いしばったり、歯ぎしりしたりしています。
それは残念ながら歯科医院ではコントロールできない(分からない)ですし、自分でもコントロールできない問題です。
その無意識下での異常な場所・異常な力での噛み合わせはマウスピースをすることしか有効な方法はないのです。
近年は噛む筋肉にボトックス注射を打って、噛み合わせの力を弱める臨床研究もありますが、
まだ結論には至っていないのが現状です。
誤解しないでいただきたいのは、「歯ぎしり=悪」ではなく、
「歯ぎしり」はアンコントロールなので受け止める歯に問題が起きる可能性を認識しなければいけない、
と言うことです。
歯ぎしりを習慣的にしている方or噛み合わせの力が強い方は、全く歯ぎしりをしていないor噛み合わせの力が弱い方に比べてそもそも治療することが難しく予後も不良になりやすいんです。
数年おきにどんどん銀歯が増えている方や、
いくら歯磨きしても少しづつ治療する歯が増えていっている方は、
もしかしたら原因は歯ぎしり・食いしばりにあるかもしれません・・・。
③へ続く。