こんにちは。
札幌で歯を残す治療とインプラント治療を世界基準の治療水準で行なっているユアーズデンタルクリニック院長の湯口です。
今日は高齢者によく起きる根面う蝕(根面むし歯)について解説します。
年齢が若い時に起きるお口のトラブルと、年齢を重ねてから起きるトラブルは少し異なります。
30代、40代くらいであれば仕事が忙しい、ストレスが多い、睡眠時間が短いなど生活習慣が乱れることで、
お口周りのトラブルとして、むし歯・歯周病・口臭・歯根破折・歯ぎしり・顎関節症などが起きます。
しかし60代を過ぎて70代、80代になってくると別のトラブルが増えます。
それが「根面むし歯(根面う蝕)」です。
むし歯は幼少期から成人に至るまでどの年代にも起きる病態ですが、
そのむし歯はほとんど歯の表面(噛む面)や歯と歯の間に起こります。
高齢になると、その発生部位が歯根表面に集中して起きてくるようになります。
歯根面むし歯は、むし歯治療で詰め物しても、すぐその周りがむし歯で再発しやすかったり、
その進行スピードが早いためにあっという間に大きくなってしまいます。
その結果、根面むし歯が原因で抜歯せざるを得ない状況になることもしばしばあります。
大木の根元が腐って折れてきてしまうイメージです。
つまり根面むし歯は注意が必要なんです。
歯根面むし歯になる要因としては次のことが挙げられます。
・年齢とともに歯ぐきが下がって歯根面が露出してしまう
・露出した歯根表面はエナメル質より軟らかいためむし歯が進行しやすい
・年齢とともに唾液が減るので、唾液の緩衝作用によるむし歯予防効果が薄れる
・高齢者が飲んでいる常用薬も唾液を抑える副作用がある薬がほとんどである
・噛む能力が低下しているので唾液の分泌を促すことができない
・セルフケア(自分での歯磨き)の質も低下して磨き残しが増える
などのいくつもの負の要因が重なることによって起きるのです。
例えば神経がすでにない銀歯が入っているとします。
その場合、根面むし歯が進行したとしても全く症状がありません。
神経がないから痛くないのです。
ところがある日、たまたま定期検診で訪れた歯科医院でレントゲンを撮ると、
歯の根元がむし歯で腐ってしまっているので抜歯が必要と言われてしまうんです。
まさに寝耳に水の状態です。
自分では健康のために黒酢を毎日飲んでいて(酢はPHが低く歯が溶けやすい上に、黒酢に加糖してあることも多いのでむし歯になりやすい)、
歯がボロボロになっていく・・
なんていうことが現実に起こりうるんです。
そのように高齢になってから進行する根面むし歯はとても重篤な病気として認識するべきです。
予防策としては
・高齢になるとむし歯ができやすくなることを認識する
・食生活の中にむし歯になりやすい飲み物・食べ物がないかチェックする
・歯肉退縮を治しておく
・定期的に歯科医院を受診して予防する(これが最も重要)
歯周病もsilent disease(静かなる病)と呼ばれるほど無症状に進行しますが、
根面むし歯も症状が出にくいため気付くのが遅れる疾患です。
高齢になれば色々な面で、お口のトラブルも起きやすくなってくるので、
早め早めの定期検診の受診が歯の寿命を伸ばすことに繋がります。
銀歯がたくさんある方、歯肉退縮の歯がある方、
何年も歯医者さんに行っていない方などはこの機会に歯医者さんに予約しましょう。
歯肉退縮の治療に関するYoutubeはこちらをご覧ください。
また、日本人の歯の平均寿命が58.5歳であるという事実、
そしてどんなことが原因で歯を失ってしまっているのか、
これまでの日本の皆保険制度による弊害、
それらの事実を客観的なデータを基に
歯の定期検診、健口診断について解説しているYoutube動画をご覧になる場合はこちらからどうぞ。
これを見ていただければ、定期検診を受診する重要性をご理解いただけると思います。
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