みなさん、こんにちは。
札幌市の歯肉退縮治療などで歯ぐき治療専門歯医者、ユアーズデンタルクリニック院長の湯口です。
今回は、当院で実際に自費治療を行った70歳代の患者さまのビフォーアフターなどを提示して、年齢が上がっても歯科治療は可能なのかどうかについてお話ししていきます。
結論を言うと、歯科医院に通院できればいくつになっても歯周外科治療やインプラント治療などの高度な歯科治療は可能です。
もちろん全身疾患などのご病気を有する場合には注意が必要です。
私たちが最も注意すべきは、糖尿病と骨粗鬆症です。
糖尿病になってその病態がコントロールできていないと、健全な方に比べて組織の治癒が遅く、治りも悪くなってしまうことがあります。
それは易感染性と言って、身体そのものが感染しやすい状態になってしまっているからです。
また創傷治癒不全と言って、そもそも傷の治りが悪くなってしまう特徴もあります。
糖尿病がコントロールできていない状態だと、そもそも身体が元気になる仕組みが損なわれてしまっていると言うことです。
特に高齢になればなるほど、そのままでは歯を残すことが難しくなってしまうため、歯周外科で歯を保存する治療や
インプラント治療で歯を造る治療には外科手術が必要になります。
加齢変化ももちろん影響はありますが、糖尿病を患っているかどうかの方が治療の予後を左右します。
また、特に女性は年齢が上がるにつれて女性ホルモンの働きが弱まり、その機序に関連して骨が脆くなる骨粗鬆症を発症してしまうことがあります。
実際に発症していなくても、かかりつけのお医者さんに予防的に骨粗しょう症治療薬を処方されている方も多いのではないでしょうか?
今は少なくなってきましたが、数年前まではビスホスホネート製剤と言う強力な骨粗しょう症治療薬も頻繁に使用されており、
それによって骨の代謝異常を起こしやすい状態になってしまっていて、
抜歯や外科などの手術ができない患者さんもいました。
最近では骨の代謝に直接作用する薬ではなく、女性ホルモンの働きを活性化させる薬やビタミンDに作用する薬に変わってきており、
リスクは減ってきていますが注意が必要です。
70歳を超えて当院に実際に通院している方で、健康な方はどんな治療でも受けていただいています。
もちろん、年齢が若い方が体力もありますので、長時間の治療に耐えることができたり治療後の回復も早いと思います。
ここからは当院で実際に治療された方の例を解説します。
当院に来院されたのが2016年で当時73歳でした。
上記のようなお口の状態で、古くなってきて見た目も悪いので治したいとのことでした。
70代でしたが、歯並びの改善も希望(!)されましたので、当院で歯並び矯正も含めた包括的歯科治療を行うことにしました。
こちらが治療終了直後の写真です。
銀歯をただやり変えただけでなく、むし歯が深く歯があまり残っていない部分もあったので歯周外科を行って、
歯ぐきの中に埋もれている歯をもう一度再利用する様な形でセラミックの白い歯を被せました。
マイクロスコープでの精密な根管治療など、歯がなるべく長持ちするように、土台からしっかりと治療したのです。
2017年に治療を終えました。
あれから5年。。。
1年に数回必ずメインテナンスに訪れてクリーニングを受けてくださいました。
ところがここ1、2年パタリと連絡が途絶えてしまったのです。
原因はコロナでした。
ご高齢のため、外出すること自体を避けていた様です。
そして2022年、久しぶりにメインテナンスにいらっしゃいました。
それがこちらの写真です。
とてもご高齢とは思えないキレイなお口の状態です。
もちろん、久しぶりの来院なので下の前歯に歯石は多少ついていましたが、逆に言うと気になるのはそのくらいです。
歯科医院に来られなくても、ご自宅で丁寧に歯磨きをしていただいていたことが分かります。
治療期間中は、いろんな治療をして大変だったとは思いますが、
一度しっかり治療しておけば、例え歯科医院に来れなくても良い状態がずっと続くんだなと実感できました。
人生100年時代、70代は半ばです。
お口の中で気になるところがある方は、一度じっくり治療してキレイな状態にしておくことをオススメします。