こんにちは。
「歯を抜かない治療」と、「長持ちするインプラント治療」の相反する高度な歯科治療の二刀流の歯医者、札幌のユアーズデンタルクリニック院長の湯口です。
アメリカでもホームランを量産し空前絶後の活躍をしている元北海道日本ハムファイターズで現ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手にあやかって勝手に使わせていただきました(笑)。
今、暗いニュースが多い中、日本中の人々が大谷選手の活躍に元気をもらっているのではないでしょうか?
ちなみに英語で二刀流は「two way player」と言うそうです。
二刀流の歯医者だと「two way dentist」と言うべきでしょうか。
果たして海外の方に通じるかどうか・・。
それはさておき、「歯を抜かない」治療と「インプラント治療」の両立と聞いてハテナマークの方もいるかもしれません。
「インプラントが得意な歯医者さんは、歯を抜いてインプラントするのが得意なんでしょう?」
「なぜそんな歯医者さんが歯をわざわざ残そうとするの?」
大きなむし歯でもすぐ抜いてインプラントする本場のアメリカ式の治療をご存知の方ならこういった疑問を持つかもしれません。
しかし私の考えは全く違います。
天然歯保存の治療も高度なインプラント治療もどちらもとても価値が高い歯科医療だと思っています。
確かに私はインプラント治療や難易度の高いインプラント周囲組織のマネージメントを日々行っています。
実際に学会発表においてもその治療技術が認められ、来年にはロサンゼルス(!)で講演を行う歯医者日本代表にも選出されています(大谷選手に会えるかも!?)。
ただしインプラントは優秀ではありますが万能ではありません。
天然の歯には歯根膜を有する天然歯にしかない「生体適応性」があるからです。
「生体適応性」とは骨格や筋肉など生体が年々微小な変化を起こしている中で順応することを指します。
インプラントは人工物なので「生体親和性」はあるのですが「生体順応性」はありません。
そのせいで、インプラント治療を終えて何年も経った後に、
他の自分の歯との位置関係が微妙にズレてきて歯の高さや接触関係が変化することがあるんです。
必ず起きるわけではないので、一概には言えませんが、
特に成長発育が終わり切っていない20代のうちにインプラント治療を行うとそういったことが起こると言う報告があります。
ただしその場合はインプラントの被せ物だけを修理したり交換したりすれば対応可能です。
それに加えて日本の歯科医療には「天然歯を残しておくべき」と言う昔からの根強い医療姿勢があります。
そのため欧米では抜歯となるような歯も日本人は保存しようとあらゆる治療法を磨いてきました。
その歯を抜かないテクニックの一つにMTM(部分歯列矯正)が挙げられます。
大きくむし歯になってしまった歯を、部分的な矯正装置を装着して
歯ぐきの中から引っ張りあげることで、もう一度歯として利用できるようにする手法です。
ここでMTM症例を解説していきます。
ある患者さんが昔他院で入れた前歯のブリッジの犬歯が、レントゲンで見ると外れている状態でした。
ブリッジの場合は、2本の支える歯のうちの1本が外れていても、もう1本が外れてこないと冠が脱離してこないため、
むし歯に気づくのが遅れてしまいます。
写真で見てもかなりむし歯が進行していることが分かります。
このままでは抜歯となってしまい、ブリッジの支台歯なので欠損が拡大してしまいます。
そこで歯にMTM装置をつけて歯ぐきの上に健康な歯を再び露出させることにしました。
仮歯の裏側から金属の矯正器具を装着して引っ張り出します。
Aの写真と見比べるとBの写真では歯が大幅に真上に持ち上がったことが分かります。
歯ぐきを整える手術も行なって最終的にセラミックのブリッジを装着しました。
治療終了して3年ほど経過していますが全く問題なく使えています。
これがMTM治療がなければ、もっと多くの歯を犠牲にしたブリッジや入れ歯になっていたかもしれません・・。
このように一見すると歯を残せないと思うような状態でも、
あらゆる治療法を駆使すれば歯を残せるだけでなく永く機能できる状態まで回復できる可能性があります。
歯科医院で抜歯だと言われたその歯でも、もしかしたら保存できる方法はあるかもしれません。
もしお悩みの方がいましたらまずはお気軽にお問い合わせください。
ユアーズデンタルクリニックでは患者さまの希望に応じて「歯を抜かない治療」と「インプラント治療」の両方をご提案できるようにしています。