こんにちは。
札幌で歯肉退縮治療・ガミースマイル治療といえばユアーズデンタルクリニック院長の湯口です。
歯周病治療も中等度以上に進行してしまうと歯周組織再生療法という歯周外科と呼ばれる手術が適用されますが、
歯ぐきの見た目の改善などには歯周形成外科という手術が適用されます。
歯周組織再生療法や歯周形成外科はどちらも保険治療適応外の治療になりますので自費治療になります。
特に歯周形成外科というジャンルは、病気の治療と言うよりも審美的な改善が主であるため医科で言うところの美容形成外科と同じようなジャンルであり、
そもそも治療を行なっている一般歯科医院も少ないです。
歯周形成外科の種類としては大きく2つに分かれていて、①歯ぐきを増やす手術か、②歯ぐきを減らす手術に分かれます。
①歯ぐきを増やす手術として代表的なのが歯肉退縮治療として行われる根面被覆です。
歯ぐきが下がってしまった部分に歯ぐきを移植しながら歯ぐきを増やす治療です。
②歯ぐきを減らす手術として代表的なのが歯冠長延長術、通称クラウンレングスニングと呼ばれる手術です。
これは、歯ぐきを切除することによって歯ぐきの量をコントロールし、
歯を意図的に長くする治療法です。
このクラウンレングスニングは主に2つの目的で行われることが多いです。
一つは、重度のむし歯が原因で歯冠が崩壊している歯にセラミックなどの被せ物をする前処置として行う目的です。
歯冠が崩壊してしまうと、健康な歯質が歯ぐきの下に埋もれてしまい、
通常の被せ物の治療をしようと思っても、歯ぐきにずっと炎症が起きてしまったり、
せっかくセラミックを被せても外れやすくなってしまったり、
あるいは被せ物をした後に歯根に再感染のリスクがあったりしてしまいます。
そこで歯ぐきと、その周囲の骨を意図的に削除することによって歯ぐきに埋もれている歯質を物理的に歯ぐきの上に出してあげることが必要になるのです。
ここに歯ぐきをあえて減らす目的があるわけです。
もう一つの目的は見た目の改善、審美改善が目的です。
「スマイル時に歯肉の過剰な露出あると魅力的な笑顔に見えない」と悩んでいる方が一定数います。
歯肉が過剰に露出して見える状態を専門用語でガミースマイルと言います。
ガミースマイルはその原因や患者の治療ゴールへの希望によって、治療法が異なり、
歯列矯正や顎外科矯正で改善させる場合もあれば、歯ぐきの切除等で改善する場合があります。
特に上の前歯が萌出異常を起こし、歯が歯ぐきから完全に萌出せずに埋もれてしまっている場合に相対的に歯ぐきの露出量が増えてしまっている方がいます。
いわゆるaltered active or passive eruption(上顎前歯の萌出異常)です。
その場合には、審美的改善を目的に歯肉切除やクラウンレングスニングを行います。
また長年の摩耗によって歯がすり減りながら挺出してしまい歯の正常な長さを失ってしまった場合も歯ぐきの相対的な露出量が多くなってしまうので、
その場合にもクラウンレングスニングを行います。
それによって歯ぐきの露出量が少なくなり審美的な歯の長さを確保できます。
それでは具体的な症例を解説します。
笑うと上唇が挙上され、その結果歯ぐきが露出することを気にされている患者さんが来院されました。
歯の色や形も気に入らないため、歯周形成外科をした後に前歯のセラミック治療も行うことにしました。
治療開始前に前歯の審美的な歯ぐきの高さを測るために、シュミレーションを行います。
モックアップと呼ばれるレジン製のシェルをお口の中に装着して、患者さんに鏡を見てもらって目標とする歯の長さを確認してもらいます。
目標の高さが決まったら歯周形成外科を行います。
歯周形成外科後の前歯の状態です。
仮歯の長さと比べるとどの程度歯ぐきをカットしたかが分かります。
そしてこの歯ぐきの高さに合わせてセラミック治療を行いました。
結果がこちらです。
この写真は治療終了から5年経過した状態の写真です。
治療を終えたばかりのような審美的な状態をキープしていることが分かります。
このようにガミースマイルは歯周形成外科を行うことによって、口元から見える歯ぐきの量をコントロールし、
見た目の印象を変えることができます。
治療が終わっても5年もの間特に問題なく経過させるには、綿密な計画と緻密な治療が必要です。
前歯の見た目や歯ぐきのことでお悩みでしたらこちらからお問い合わせください。