根管治療とは?
歯の断面図を見ると、歯の内側には歯髄(歯の神経)があります。この歯髄は花で例えると根っこの役割を持ち、血液を運ぶことによって歯に栄養を与えています。
しかし、虫歯が進行することによって、歯髄が感染すると強い痛みが発生します。何もしなくても拍動痛(ズキズキ)する、腫脹することでお顔が腫れてしまうこともあります。
したがって、根管治療では細菌感染によって失活してしまった(機能しなくなってしまった)歯髄を除去、感染源の除去、痛みや腫脹を取り除き、最終的に歯を保存する治療になります。
進行した虫歯は自然治癒することはありません
結論から申し上げて、進行した虫歯は自然治癒することはありません。でも、「あれ?治った?」と勘違いしてしまうタイミングがあります。それは、歯髄が失活した時です。
あれだけ激痛だったのに急に痛みが引いたのは、歯髄が細菌感染によって機能しなくなったためです。それで勘違いして更に放置をすることによって歯が溶かされたり、根尖に膿がたまるなどの問題が生じてしまいます。
根管治療が必要な虫歯の段階
虫歯は歯の表面から歯の内側に向かいます。エナメル質→象牙質→歯髄→根管内といった順番に虫歯は進行していきます。(虫歯菌に侵されてしまう)
その歯髄(C3)・根管内(C4)の段階に対して根管治療を行います。
根管治療の前提
ほとんどの場合、マイクロスコープ下での根管治療を行わない場合には根管内に感染源を取り残してしまうことが起こりうるので、マイクロスコープ下で感染源を徹底除去することが根管治療の基本となります。また、根管治療中あるいは治療期間中に二次感染を起こさない目的で、ラバーダム防湿や二重仮封が治療中の再感染への配慮も必要です。
生体本来の根管の形態は湾曲根管の形態が多いので、その本来の根管形態を壊さずに、根管に追従する形で器具を使用しなければならず、その際に必要になるのが、ニッケルチタンファイルのような弾性のある器具です。また、その本来の根管形態を正確に把握するためには、CBCTによる診査診断が必要になります。
通常のレントゲン写真では、見落とされてしまう根管や根管の形態を正確に把握することができるため、治療計画及び実際の治療の精度が高まります。
再根管治療の場合
二度以上の根管治療(再根管治療)を受けている歯の場合、根尖が破壊されている場合や本来の根尖孔ではないところにパーフォレーション(穴)がある場合、MTAセメントによる封鎖を行う必要があります。
症例ごとに見る根管治療4つの治療法
抜髄治療
感染してしまった歯髄が炎症を引き起こすと歯髄炎という状態になります。歯の神経である歯髄は、神経線維と血管で構成されているため、虫歯菌に侵されると強い痛みが発生します。
また、不正咬合や知覚過敏などが原因で歯髄が刺激されることがあります。その刺激が持続的に与えられても歯髄炎を引き起こす場合があります。
抜髄治療は歯髄炎になった歯髄を除去することによって、歯の痛みや腫脹を抑えます。
感染根管治療
歯髄炎の状態を放置してしまうと、歯髄は失活し、機能を失ってしまいます。しかし、虫歯の進行は止まらないのでそのまま根管内を汚染すると、歯髄・歯根が汚染されてしまい、根尖に膿を溜めてしまいます。
歯茎に水ぶくれのようなものがある場合は、膿を外に逃がすフィステル(サイナストラクト)の場合があります。感染根管治療を行い、根管内の汚染物質を取り除き、適切な処置が行われると、膿は無くなります。
再根管治療
文字通り、再度根管治療を行うことです。再根管治療が必要な場合は、治療終了時に何らかの問題が残存してしまっていることがあります。
代表例としては、根管充填が不十分であったり、細菌が残存したまま封鎖されてしまった場合、治療時に根管に穴が偶発的に開いてしまったという例があります。
根管治療と手順は同じ様に根管内の感染源を除去することが目的ですが、穴が開いてしまってるなど他の問題がある場合は、同時に修復していきます。
当院が行う根管治療4つのコンセプト
根管内の無菌化を目指す
根管治療で大切なのは、根管内の無菌化です。噛むなどの機能面や審美面の問題よりもまず、根管治療を成功させなければなりません。
そのため、当院ではCBCTでの精密な検査、ラバーダム防湿で治療する歯の隔離、根管を壊さない・感染源を取り残さないために、マイクロスコープの使用やニッケルチタンファイルの使用した精密根管治療を行います。
予後の良好な状態を目指す
根管治療をしただけでは、歯を保存したに過ぎません。なるべく長期間良好な状態を維持するためには、咬み合わせなどを考慮する必要があります。
口腔内の全体最適を図って、初めて根管治療は完了します。せっかく治療した歯が歯ぎしりや食いしばりで1年や2年で歯根破折してしまったら、意味がありません。
メンテナンス
治療後には良好な状態を維持するために、メンテナンスを行っていただきます。治療して歯を残したということは、一命を取り留めたことと同じです。
したがって、ご自身の歯を大切にしていただく、できる限り天然歯と長いお付き合いをしていくためにメンテナンスを一緒に頑張りましょう。
当院が行う根管治療4つのコンセプト
診査診断
パノラマレントゲン、デンタルレントゲン、CBCTなどで、根管の状態を正確に把握していきます。
コンサルテーション
検査資料を用いて、現状のご説明を詳細に行います。 その後、歯に関することや治療歴など詳細をカウンセリングさせていただきます。それらの情報を用いて、治療計画をご提案いたします。
治療計画に同意後治療開始
治療計画に同意していただいてから治療を開始します。
主な治療手順はは以下となります。
- 汚染した歯髄の除去
- 根管内の感染物質の除去
- 根管洗浄、二重仮封
- 経過観察
- 治癒が見込めたら根管充填
- 土台の築造、被せ物の作成
根管治療の症例
症例1:前歯の根管治療
術前・術後写真
術前
術後
基本情報
- 年齢:50代男性
- 主訴:前歯の差し歯のやりかえをしたい
- 診断:二次虫歯、不良補綴物、根尖病変
- 治療内容:根管治療、コアの築造、オールセラミッククラウン
- 治療期間:根管治療のみ2ヶ月(すべて入れると約8ヶ月)
- 治療のリスク:術後疼痛、腫れ
- 治療費用:110,000円(税込)×4本=440,000円(税込)
※根管治療のみの費用となります。
症例2:前歯の根管治療+審美歯科
術前・術後写真
術前
術後
術後正面
基本情報
- 年齢:50代女性
- 主訴:前歯をキレイにしたい
- 診断:二次虫歯、不良補綴物、根尖病変
- 治療内容:根管治療、コアの築造、オールセラミッククラウン
- 治療期間:根管治療のみ2ヶ月(すべて入れると約8ヶ月)
- 治療のリスク:術後疼痛、腫れ
- 治療費用:110,000円(税込)×2本=220,000円(税込)
※根管治療のみの費用となります。
症例3:臼歯部の根管治療
術前・術中・術後写真
術前
術中(根管充填時)
術後
術後2年経過
基本情報
- 年齢:70代女性
- 主訴:前歯をキレイにしたい
- 診断:二次虫歯、不良補綴物、根尖病変、歯周病
- 治療内容:根管治療、コアの築造、ジルコニアセラミッククラウン
- 治療期間:根管治療のみ2ヶ月(すべて入れると約1年)
- 治療のリスク:術後疼痛、腫れ
- 治療費用:110,000円(税込)×4本=440,000円(税込)
※根管治療のみの費用となります。