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歯を壊す「歯ぎしり」について(クロスオーバーブラキシズム)②

こんにちは。

札幌の審美歯科・噛み合わせ治療・インプラント治療の歯医者ならユアーズデンタルクリニック院長の湯口です。

今日のテーマは前回のブログの続きの「歯ぎしり」です。

前回は一般的な歯ぎしりの病態と治療についてお話ししましたが肝心のメインテーマに行きつかずに終わってしまいました。

ここからが本テーマで最もお伝えしたかった点ですのでぜひご一読ください。

歯ぎしりしている患者さんの治療は難しいというお話をしましたが、もっと難易度の高い患者さんがいます。

「顎がどこまででも出てしまう方」です。

どういうことか説明しましょう。

それは下顎の運動がコントロール不能になっていてどこまででも運動できてしまう方、という意味です。

分かりやすく言うと、顎をしゃくれさせたときに、顎が前に飛び出すぎる場合を指します。

これは下顎の運動制限を行う顎関節のジョイント部の靭帯が伸び切ってしまっている状態なんです。

顎関節の靭帯が伸びていなければ、異常に顎を動かすことができないため、

歯にもそこまで障害は出ません。

しかし、なんらかの理由で、

例えば顎の位置がズレた位置で長年噛んでいる場合には、顎の位置のズレを身体が無理やり受け入れてしまうことによって、

靭帯が無理やり引っ張られた状態で咀嚼をしてしまうので、

後部靭帯がズルズルに伸びてしまう場合があるのです。

そもそも正常な噛み合わせとは、顎に負担がかからない場所でスムーズに開閉運動ができる状態で噛み合ったときに、

上下の歯がピッタリと噛み合っている状態を指すのですが、

実はそんな噛み合わせの方はあまりいません。

というかそういう方は歯医者に来ることがまずないので私たちは出会えません。

正常に見えていても、正常な位置ではない顎の位置で咀嚼している方が多いのです。

理由としては、ヒトは顎の正常な位置関係よりも咀嚼という行為そのものを優先するため、

顎をズラしてでも咀嚼できるような身体のメカニズムになっているからなのです。

その結果、そのズレが大きい状態で長年顎を酷使し続けると、

顎関節の構造に障害が起き、関節円板の転位が起きたり、靭帯が伸びてしまったりするのです。

いわゆる顎関節症ですね。

そうなってしまうと、前歯の差し歯を治療するときにも、

クリニックの治療用チェアに座っているときにはそこまで顎を動かさないのに、

家に帰って夜寝ているときに、異常なまでに顎を動かすことができてしまうせいで、

とんでもない噛み方で仮歯に噛み合わせの力が加わって外れてしまうのです。

つまり、通常の前歯の重なり合いを乗り越えて、下顎を動かして歯を擦り合わせるクロスオーバーブラキシズムと言う歯ぎしりをするようになるんです。

このクロスオーバーブラキシズムが問題なのです。

クロスオーバーを見逃すと、何度やっても仮歯が外れてきたり、

あるいは何度治療しても歯が取れるので強力な冠を装着して、そのせいで歯を割ってきたりしてしまいます。

むし歯や歯周病で歯を悪くするのは昔から分かっていることですが、もしかしたらこの患者さんはこのブラキシズムが原因で今まで歯を悪くしてしまったのではないかと思うことがあります。

どこかでこの噛み合わせに気が付いて対処していたら、歯を失うことはなかったのではないかって。

それくらい重大な事案なんです。

それでは最後に具体例をお見せします。

 

札幌、前歯、インプラント、審美歯科、歯医者

前歯のインプラント治療終了2年(黄色と赤色の↑に注目)

 

こちらは当院で前歯のインプラント治療を終了されてリコールに来た患者さんの写真です。

黄色と赤色の矢印に注目すると、犬歯の先端の形が左右非対称であることが分かると思います。

犬歯はその名の通り先端が尖った歯になるのですが、赤色の矢印の方は先端が平坦な形になっています。

下顎を横に動かしたときに下の歯が当たってきてしまうので先端を尖った形にできなかったのです。

 

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①上下の歯を噛み合わせた状態

 

上記の写真が上下の歯を噛み合わせた状態の写真です。

この状態から下顎を横にズラしてもらいます。

すると犬歯の裏側をガイドしながら下顎が横にズレていきます。

限界まで下顎を横にズラしてもらった写真が②です。

 

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②下顎を横にズラして限界まで動かした場所での噛み合わせ

 

これは限界まで横にズラしてもらわないと、患者さん本人は下顎をここまで動かしません。

青丸が上下の犬歯の重なり合いなのですがよく見てください。

 

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③上下の犬歯の位置関係に注目、下の犬歯が上の犬歯よりも前に出てしまっている!

 

③を見ていただくと分かりますが、上の犬歯よりも下の犬歯が前に出てしまっていて、逆の重なり方になっています。

これは下顎が顎関節の靭帯を伸ばし切った状態で上下の犬歯を噛み合っている状態です。

言い方を変えれば靭帯を伸ばさなければここまで下顎を動かすことはできないのです。

これに気がつかないでインプラントのセラミックを作製すると間違いなく破損してしまいます。

犬歯の形が左右非対称なのはこの噛み合わせに配慮した形態にする必要があったからなのです。

このように噛み合わせって本当に気をつけなければいけないんです。

歯を長持ちさせたり、セラミックやインプラントを長持ちさせるには、噛み合わせ治療は必須です。

現在すでに歯でお困りの方はこちらからお問い合わせください。

前回の院長ブログ「歯を壊す「歯ぎしり」について(クロスオーバーブラキシズム)①」をご覧になりたい方はこちらからご覧ください。

 

 


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