こんにちは。
患者さんに寄り添った治療計画の立案を特徴とする札幌の自由診療歯医者、ユアーズデンタルクリニック院長の湯口です。
当院は審美歯科として認知されていますが、前歯の見た目を気にする方だけでなく、保険治療では治すことができない、歯を抜かないといけない、歯にコンプレックスがある、歯科治療に恐怖心をお持ちの方など本当に様々な主訴をお持ちの方に多く来院していただきました。
おかげさまで先日開院から7年が経過しました。
この場をお借りしてお礼を申し上げます。
さて、以前よりHP上やクリニックの窓口でもお伝えしていました通り、9月の連休を利用してアメリカのインプラント学会OSCSCで講演を行って来ましたのでご報告いたします。
遡ること2020年2月に日本のOJというインプラントの学会で症例発表を行った結果、上位入賞しアメリカでの講演機会を得たことは以前にお知らせした通りです。
しかしその直後に世界規模でCOVID-19が猛威を振るい、今日までの混乱は皆さんの知るところです。
その結果本来であれば2020年9月にロサンゼルスで開催される予定だったOSCSCというアメリカでも2番目に長い歴史を持つ権威あるインプラント学会が延期となってしまいました。
そして2年ぶりに今回開催されることが決定し、私の元に正式なオファーが届いた次第です。
アメリカでの講演が決まったのに2年も延期してしまい、英語でのプレゼンテーションもハードルが高かったため、
モチベーションを再び上げるのに苦労しましたが、診療の合間をぬって準備しました。
コロナ禍での渡米ということもあり必要な手続きや書類の準備も大変でした。
ただ2022年9月7日に日本政府が、3回ワクチン接種済みの人の帰国時の72時間以内の陰性証明書の提示を撤廃したこともあり、アメリカでの検査がなかったのは良かったです。
色々なサイトで必要な書類を解説していたが一番分かり易かったのは航空会社のサイトでした。
事前に調べて準備していたので日本・アメリカ両方の出入国に特別時間がかかったり大変だったことはありませんでした。
ロサンゼルスに到着して学会が行われる前日には、日本から行った先生方と現地の歯科医院や技工所を見学させていただきました。
アメリカに移住して10年以上仕事している歯科受付の方、歯科衛生士の方、歯科技工士の方々の仕事ぶりや生活の様子を聞いてとても刺激を受けました。
日本人歯科技工士さんは世界でも高く評価されているので、仕事も引く手あまたなのかと思いましたが、
「しっかりした精度の仕事をしないと選んでもらえない」と言っていたのが印象的でした。
そこは日本でもアメリカでも同じようです。
ランチをロイ・ヤナセ先生ご夫妻にお誘いいただき、ハワイアンレストランで食事をご一緒させていただきました。
その後、デンテックインターナショナルという世界規模の歯科技工所に行き、見学させていただくのと同時に講演のプレゼンテーションの最終チェックを行いました。
英語のプレゼンテーションの準備はしていたものの、発音のチェックだけでなく、プレゼンの中の英単語の修正なども指摘を受けました。
例えば Implantology→Implant Dentistry
Hard Tissue Framework Reconstruction→Hard Tissue Augmentationと言った具合です。
普段講演の中で使用している英語も和製英語があるかもしれません。
すると突然、隣でケータイを触りながら聞いていたケント先生が「バブリ、バブリ・・」と私に話かけてきました。
何のことを言っているのかと思っていたら、私の噛み合わせ治療のスライドの中の引用文献の中に、
OBI Fundationの生みの親であるRobert Lee先生の書籍を引用していたのですが、
実はRobert Lee先生の愛称はBob Leeだったんですね!
それをケント先生は「ボブリー」と言っていたんです。
「君はボブリーの考え方で咬合再構成をしているのか?ボブリーは上顎前歯の長さの規定があったがそれに比べて少し長い気がするがどうかな?」と言う指摘を受けました。
成人の理想的な前歯の長さより、歯周外科を行っている場合には前歯は少し長くなってしまいます。
ただしRobert Leeの考えでは前歯の長さは幅が許容されており、私の補綴はその許容範囲内に収めているのでした。
おそらく歯周外科のスライドは見ていなかったんでしょう笑。
どこまで伝わったか分かりませんが英語でそんな話をしました。
でもさすがアメリカ、咬合治療の本場です。
私は今回インプラント外科医、歯周外科医としてOSCSCのプレゼンを作成していたので、
咬合治療の話は最低限のスライドしか入れていませんでしたが、Robert Leeの文献を見逃さないあたりは驚きました。
インプラントや歯周病治療はアメリカだけでなくヨーロッパでも発展してきましたが、咬合治療と言えばアメリカです。
古くはナソロジーもその後に発展した咬合理論も全てアメリカの歯科医主導で構築されてきました。
Robert Lee先生はPanadent咬合器を作った先生として有名ですが、そのRobert Lee先生の意志を受け継ぐ形で設立されたのがOBI Fundationです。
この発表症例はOBI Japanの荒谷先生にご指導受けた後に咬合再構成治療を行っている症例だったためケント先生の目に留まったんでしょう。
その予演会が終了したあとデンテックインターナショナル社長のトミー山下さんの計らいで決起集会が行われ、翌日のOSCSC本番の日を迎えるのでした。
続く・・。